イベントは「1回性」が醍醐味
映画と本ってエンターテイメントとしてのコスパ良すぎるな。むちゃくちゃセンスある人が集まって何十億円もかけた映画が1800円で観れるし、むちゃくちゃ頭いい人が人生かけて見つけた発見が書いてある本も千円ぐらいだし。しかもそれが一生かけても観切れない読み切れないほどあるってヤバいだろ
— 松澤茂信 (@matsuzawa_s) 2018年2月15日
このツイートがバズった。
いやほんとに映画と本ってコスパが良すぎるよ。
映画はずっと好きだからTSUTAYAで借りてたけど、「宇多丸のムービーウォッチメン」(聴きはじめた当時は「シネマハスラー」ってコーナー名だったけど)を聞くようになってから劇場に行くようになった。
「あー、映画ってそうやって観るんだ!」って理解できると劇場で観たくなる。
それまでは「TSUTAYAなら100円なのに、1800円ってちょっと高いな」って思ってたけど、小さな画面で観るのと映画館で観るのとじゃあ、おなじ「映画鑑賞」でもまるっきり体験の性質が違うんだよね。
もともと映画はデカい音、デカい画面を想定して作られてるから、監督の意図がそのまんま受け取れて面白い。
なによりスマホをイジレないのがデカい。
薄暗い場内、ふかふかの椅子、スマホもパソコンもイジれない時間。めちゃくちゃ集中できる環境がそこにある。
映画自体の楽しさにくわえて、温泉に浸かるような「ふ~~っ、リラックス~~」って心地良さがあるんだな。劇場って。それが1,800円ってめちゃくちゃ安いね。
で、別視点のことなんだけど。
こちとらツアーやトークイベントをやってるわけで、映画や本はいわばコンテンツライバルと言える。
企画したり、打ち合わせしたり、仕込みの時間がかかるわりに提供できる人数がそれほど多くないから、どうしても映画や本みたいな参加料にはできないわけ。
じゃあ、イベントに参加してもらう価値ってどこにあるのか?
いろいろあるけど、なかでも大きいのは「一回性」じゃないかとおもう。
その場その時に居合わせなければ味わえない、一回性こそイベントの醍醐味。
映画や本はいついかなる時に観ても読んでも安定したコンテンツを提供できるのが強み。そりゃそうだ、フィルムや紙に固定化されてんだから。
5年前、寝ても覚めてもずっとももクロのライブDVDを観ていた時期があった。
平素のライブもめちゃくちゃ感動するんだけど、特に強く記憶に刻まれたのは「ハプニングが起ったときのお見事な対処」だ。
例えばこの動画。
ライブ途中に機材故障で音楽が出なくなったんだけど、それでも動揺することなく、止まることなく、全力のアカペラで歌って踊り続けてるの。
いやー、すごいなと。
これはもうイベントならではで、何度も撮りなおすことが前提のMVじゃあ起りえない状態。このトラブルと素晴らしい対処にみる「1回性」こそが、イベントの醍醐味だよなあって。
ももクロのライブってそういう名場面がけっこうあって、その醍醐味に気づいた。
そこからはイベントやトークライブの本番で、あんまり緊張しなくなった。
「あとはやるだけ。なにかトラブルが起こったら、どう乗り切るかが腕の見せ所」と割り切れたから。
もちろん滞りなく進行できるよう準備をする。
「失敗してもいいや」「ぐずぐずでいいや」という準備のイベントは、1回性の土俵にすらあがれないので。
「しっかりとした準備があって、なお、それでもときおり起こってしまうハプニング」にこそイベントの面白さがあるんじゃあないかなあ。
だからまあ、むしろ、準備段階はかなり緊張してるけどね。